祇園の記憶を未来へ。帝国ホテル 京都(弥栄会館)の保存改修に外壁保存工事で貢献
2026年3月5日、京都・祇園の地に「帝国ホテル 京都」が開業しました。
その舞台となったのは、祇園甲部歌舞練場の敷地内に建つ歴史的建造物「弥栄会館」です。1936年に竣工し、長年にわたり祇園の景観と文化を象徴してきたこの建物は、国の登録有形文化財としても知られています。
このたび、弥栄会館の歴史的な意匠を受け継ぎながら、新たなホテルとして再生する大規模な保存改修プロジェクトが進められ、弊社スギテックも外壁保存工事の一部に携わりました。
また、本プロジェクトは「日経アーキテクチュア 2026年6月25日号」にも紹介され、歴史的建築物を未来へ継承する取り組みとして注目されています。
祇園の文化とともに歩んできた「弥栄会館」
弥栄会館は、京都・祇園の中心に位置し、特徴的な瓦屋根や重層的な外観、城郭を思わせる塔屋状の意匠など、独自の存在感を放つ建築です。
かつては演劇や興行の場として親しまれ、地域の文化を支える拠点の一つでもありました。単なる建物ではなく、祇園の記憶や風景の一部として、多くの人に受け継がれてきた存在です。
今回の改修では、その姿をすべて新しく置き換えるのではなく、保存すべき外壁や意匠をできる限り残しながら、現代のホテル機能を備えた建物へと再生することが大きなテーマとなりました。

「残す」ために求められた繊細な施工
歴史的な建物の保存改修では、新築工事とは異なる難しさがあります。
長い年月を経た外壁タイルや装飾材は、見た目以上に劣化が進んでいる場合があります。触れるだけで欠けたり、剥がれたりすることもあり、現地の状態を見極めながら一つひとつ慎重に施工する必要があります。
今回、弊社が携わったのは、保存外壁の一部におけるピンディング工事です。
ピンディング工事とは、外壁タイルなどの仕上材を、アンカーピンや樹脂注入などによって現位置のまま固定し、剥落を防ぎながら保存する工法です。歴史的な外観をできる限り残すためには、単に補修するだけでなく、既存材の状態に合わせた判断と、細やかな施工技術が求められます。
弊社施工範囲について
下図は、日経アーキテクチュア掲載図面をそのまま転載するのではなく、公開用に簡略化して作成した施工範囲の概念図です。

濃紫で示した部分が、弊社が施工に関わった範囲のイメージです。
実際の建物では、保存対象となる外壁の状態を確認しながら、歴史的意匠を損なわないよう細心の注意を払い、固定・保存の施工を進めました。文化的価値のある外壁を未来へ残すため、現場では高度な判断力と確かな手仕事が求められました。
文化的価値のある建物を守ることも、スギテックの仕事
建物改修というと、劣化した部分を直す、傷んだ箇所を補修する、といったイメージが先に立つかもしれません。
しかし、今回のような保存改修では、単に「直す」だけではなく、「何を残すべきか」「どのように残すべきか」を考えることが重要になります。
祇園のまちなみを形づくってきた建物の表情を守ること。
長い年月を重ねた外壁材を、できる限り現位置で保存すること。
そして、次の時代に使われ続ける建物として再生すること。
その一つひとつの積み重ねが、地域の景観や文化を未来へつなぐ力になると考えています。
スギテックは、建物調査・診断・補修提案を行う会社として、劣化状況を正確に見極め、建物の価値を守るための技術を提供してきました。今回の帝国ホテル 京都(弥栄会館)保存改修プロジェクトへの参画も、そうした取り組みの一つです。
これからも、建物の価値を次世代へ
歴史的建築物の保存、外壁タイルの剥落防止、劣化調査、補修設計、改修工事。
建物を長く使い続けるためには、目に見える美しさだけでなく、その裏側にある安全性や耐久性を支える技術が欠かせません。
スギテックは今後も、建物の状態を的確に捉え、所有者・管理者の皆さまにわかりやすくお伝えしながら、文化的価値のある建物や地域の景観を守る取り組みに貢献してまいります。
歴史を壊すのではなく、未来へ手渡すために。
私たちは、建物の価値を守る技術で、これからも社会に貢献してまいります。
工事概要
名称:帝国ホテル 京都(弥栄会館保存改修)
所在地:京都市東山区祇園町南側
主な内容:弥栄会館の一部保存・活用によるホテルへの再生
弊社施工内容:保存外壁の一部におけるピンディング工事
開業:2026年3月5日
関連掲載:日経アーキテクチュア 2026年6月25日号
関連するご相談について
スギテックでは、外壁タイルの劣化調査、剥落防止対策、ピンディング工事、赤外線調査、AI画像解析など、建物の維持保全に関する各種ご相談を承っております。
歴史的建築物や意匠性の高い建物の外壁保存、改修計画でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談下さい。