こんにちは。近畿地方では昨夜台風20号が上陸し、近畿地方では記録的な大雨となりました。神戸空港では近畿地方の観測史上2位となる1時間に136ミリという雨が降り、神戸市内では10万人以上に避難指示が出されるような状況だったようです。

大阪や京都でも1時間に100ミリを超える雨が降り、今朝の段階では電車の運転見合わせなど、まだその影響が残っていました。8月9月は気象庁の平均値でも台風が列島に上陸する可能性が高い時期になりますので、今後も注意していきましょう。

本日は杭工事の際に、必要な杭の長さを可視化するという、竹中工務店が開発した杭の設計・施工管理システムのご紹介。

杭を可視化するシステム「ANAGO(アナゴ)」

構造物を支える杭を地中にある支持層へ打つ杭工事ですが、地中深くにある支持層を直接見ることはできません。それをBIMおよびICTを活用して3Dモデル化することで、必要な杭の長さを可視化できるようにしたシステムが「ANAGO(アナゴ)」です。

アナゴと聞くと魚の穴子を想像してしまいますが、ボーリング孔を穴子の寝床に例えた訳でもなく「ANAlysis  for  Geologic  Optimum」=地質最適化分析の頭を取った名称のようです。

ちなみにこのシステムは、すでに実際に愛知県の大規模展示場建設工事の杭工事に初適用されています。

実施したプロジェクトでの杭工事

この愛知県での杭工事のプロジェクトでは、傾斜の大きい支持層にその数3000本超もの杭打ちをおこなうという工事で、100本程度のボーリング調査を基にして設計者が支持層の深さ分布図を作成、全ての杭の長さを決める必要があったそうです。考えただけでも相当に時間が掛かりそうな作業ですね。


出典:竹中工務店 (愛知県大規模展示場建設工事)

3000本という杭の数に対して100本程度のボーリング調査を基に、複雑な3次元形状を推定するというのはかなり難しいのと、施工段階に入って支持層の深さが想定と違った場合、対応する杭を再度製作しなければならず、時間がかかることが想定されていたそうです。

ANAGOで大幅な省力化に

ANAGOシステムの概要ですが、ボーリングデータと杭の施工結果から判明した支持層の深さ・傾斜を最新データを基に補正。3次元により可視化するとともに、今後打設予定の杭の支持層までの深さを自動的に判定できます。


出典:竹中工務店

傾斜の大きい支持層があった場合にこれを活用することで大幅な効率化になりそうです。

設計段階のメリットと施工段階のメリット

設計段階

ANAGOを杭工事に活用することで、支持層の分布図作成と杭の長さ検討が自動化。これにより設計作業にかかる時間が80%もの削減になるそうです。


出典:竹中工務店

施工段階

各杭の施工によって得られた実際の支持層までの深さを追加することで、支持層3Dモデルを更新。最新かつ詳細な地盤情報に基づく杭施工管理が可能に。

今後打設する杭の長さもタイムリーに変更できるため、2.8台/人だった杭打機の施工管理が、4.0台/人へと省人化。


出典:竹中工務店

まとめ

見えない部分を施工結果から得た数値を入力していくことで補間し、未施工部分の支持層の深さを自動判定できるこのシステムは、実際に設計作業時間が80%も削減されていることから、基礎工事においてかなり有用なシステムとなりそうです。

BIMは活用方法次第で本当に様々な可能性を秘めていますね。