こんにちは。本日は奥村組さんとパスコさんが共同開発したという、人工衛星地表変位測量システムのご紹介。宇宙から観測するとは何とスケールの大きいことでしょう。こちらは主にシールドトンネル工事の際の測量に活用されるそうです。

宇宙からの地表面変位の測量

シールドトンネル工事は、地表面に出る影響を最小限に抑える必要があるために、シールド機器周辺の地表面を常に監視しなければなりません。通常活用される手法としては、対象の箇所に対して複数観測点を設置。水準儀、GNSS測量機器などで変位経過を測量・監視するというのが通常の形です。

この手法の問題点としては、どうしても観測するために測量機器などを設置する必要があり、それが原因で交通量の多い道路や私有地となると測量するのが難しくなる、という点です。

また、シールド機が通過した後を継続的に監視していく場合など、多数の観測点が必要となり、しかも長期に渡って継続的に測量をおこなわなければならない為、多大な時間的コストと労力が必要になります。

課題解決の答えが人工衛星

奥村組さんとパスコさんは、SAR衛星による地表面の変位測量を提案。ちなみにSAR衛星とは( Synthetic Aperture Radar)の略で、日本語で合成開口レーダーと呼ばれます。開口とは電波を受ける部分で、よく見る丸いアンテナ部分になります。

レーダーが地表面の詳細な分解能を得ようとすると、例えば10メートル、またそれより高い分解能を得ようとすると、それに必要なアンテナの大きさは1キロにもなってしまうそうです。とてもじゃないですが、現実的に衛星に載せられないですね。


出典:国土地理院

そこで合成開口という技術があります。これは詳しい技術的なことは分かりませんが、簡単に言うとアンテナを移動させながら電波を送受信し、大きな開口をもったアンテナと同等の結果を得られるようにした技術。とのことです。そのような技術を使った衛星がSAR衛星と呼ばれます。


出典:奥村組

今回の地表面変位測量にも採用されたSAR衛星ですが、地球を周回しながら該当地表面にマイクロ波を照射。その反射波を衛星で受信することで、対象の観測をおこないます。

これの優れた所は、今までのような労力を必要としないのは勿論、対象物を直接観測できるため、例えば立ち入りが難しい場所に関しても計測可能。天候に左右されることもありません。

地表面の変位量は視覚的データとして捉えられ、変位の大きさごとに色分けされ表示するシステムも開発されています。さらにシール機の位置なども重ねて表示が可能となっているということで、分かりやすいのが素晴らしいですね。

出典:奥村組

ちなみにこのシステムですが、京都市上下水道局の下水道工事で使われています。道の狭い住宅密集エリア、そして交通量も多い。そんな条件の中、制限を受けることなく広範囲なエリアを計測できたそうで、その結果も従来の方法での計測の場合と変わらない精度を確保できたとのことです。今後シールドマシンが動く様々な現場で活用されることが増えるでしょう。

それにしても確かに効率は格段に上がっていると思いますが、人工衛星を打ち上げるという発想はスケールも大きいですが、その打ち上げ費用もとんでもなく大きそうですね。ロケットに相乗りさせてもらうこともできるそうですが、それでも費用は莫大です。

こういった技術も宇宙ビジネスが進歩してくれば発展してくるのでしょうね。パソコンが普及してきたように、企業に1台、スギテック人工衛星が打ち上げられる時代がくるかもしれません。