こんにちは。国内ではBIM(Building Information Modeling)という技術は、もうかなり知られていると思いますが、実際に活用ができているという企業はまだまだ少ないのではないでしょうか。

まだまだ3D CADを活用しているという企業も多いと聞きますが、3D CADが1からモデルを構築するものだとしたら、BIMはパーツでモデルを構築する、というイメージでしょうか。3D CADは後からの修正が難しいため作業効率が悪いというデメリットがあります。

パーツと各データを連携できるBIMの場合は、後の管理という面でも3D CADよりもメリットが大きいと言えます。そんなBIMモデルから製作したMR(Mixed Reality=複合現実)を投影し、鉄骨建方の精度確認を行う技術の実証の様子を、戸田建設株式会社(以下、戸田建設)が公開しています。

鉄骨建方時にBIMモデルから製作したMR投影

工事の現場は佐賀県のSAGAサンライズパークアリーナの新築工事で、戸田建設では生産性の向上を目的とし、以下のようなBIMによる気流の解析や3Dプリント出力による検証、製作物出力等の3Dデータの活用を行ってきており、今回のMRの投影はその一貫となります。


出典:戸田建設

1.BIMから温熱シミュレーションによる気流解析の実施
2.3Dプリントにて鉄骨工区分担範囲の見える化
3.軒天井及びエントランス天井の多面体定義、外皮小口パネル等の製作図面出力


出典:戸田建設

MR投影は、このSAGAサンライズパークアリーナ新築工事作業所の佐賀県主催の親子現場見学にて行われ、最先端の建築技術に触れる機会が提供されたそうです。仕上げ壁位置や扉・窓などを実際に投影することで、参加者に対し建物の完成イメージや工事の進捗状況の説明を行ったとのこと。


出典:戸田建設

建築の業界では、作業の効率化や生産性向上が求められており、設計期間をいかに短縮するかがポイントになってきています。そのためにスケルトンをベースに課題解決を行い、じょじょに詳細度を上げつつ細部をまとめ、課題解決の速度を上げることが必要になり、またそれにはBIMを使ったプロジェクトマネジメントが出来る体制づくりが不可欠になるとのこと。


出典:戸田建設

そして、BIMを活用する際には現場と3Dモデルの座標を合わせる必要がありますが、その過程での課題があります。今回の現場のように、延べ面積が約34,000㎡にも及ぶ大規模建築物をMR投影するにはデータ量も多くなります。いかにアプリに取り込めるデータ量に収めるかが最初の課題だったと言います。この課題については、データ欠落の発生が出てしまうものの、アプリ開発をおこなったDataMesh社の技術でカバーすることが出来たといいます。


出典:戸田建設

また、次点で出た課題が、実際の建物との位置合わせ・微調整をどう行うかという所。現場で投影の検証をしながら建築系座標とゲーム系座標ではXYZの押さえ方が違うということを考慮してMRの位置調整を行ったそうです。
また、QRコードのみで位置が確定するため、投影したいポイントでの調整が課題となりQRコード内にはクロスラインを追記し床や柱面にクロスポイントをあらかじめ記入することで、20ケ所の検証箇所での読み込み精度を高めることが可能になったとのこと。

現状のMR技術では、最新のタブレット端末の機能でも5~6mの範囲内での精度しか確保できていないということで、将来的に、MR機器自体の精度が上がることで実用性が増して、幅広く利用できることが期待されています。


□戸田建設株式会社
鉄骨建方時にBIMモデルから製作したMRを投影
リリース記事:https://www.toda.co.jp/news/2022/20220112_003011.html