記事のポイント

・株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)と株式会社竹中土木(以下、竹中土木)は、米国Boston Dynamics社の四足歩行ロボット「Spot」を用いた、建設現場における自動巡回と遠隔操作による業務支援機能を実現したと発表した。

・この業務支援機能により、工事記録写真の撮影や工事の進捗管理、資機材の配置管理など、建設現場で行われる様々な管理業務にかかる負担を10%程度削減できるとしている。

Spotを用いた実証実験で建設現場での自動巡回と遠隔操作による業務支援機能を実現

竹中工務と竹中土木は、米国の「Boston Dynamics」社の四足歩行ロボット「Spot」を用いた、複数回に渡る実証実験により、建設現場における自動巡回機能のさらなる有効性を確認するとともに、自動巡回と遠隔操作による業務支援機能を実現した。この業務支援機能により「工事記録写真の撮影」「工事の進捗管理」「資機材の配置管理」等、建設現場で行われる様々な管理業務にかかる負担を10%程度削減できるという。

四足歩行ロボット「Spot」の実用化に向けては、2020年12月から鹿島建設を含めた3社で共同研究を行ってきている。今回の成果は3社の連携にフィードバックし、工事現場の働き方改革実現や、先進的な技術の積極的な導入・活用を図ることで、建設産業の魅力向上を目指していくとしている。

自動巡回機能

建設現場では工事の進捗状況によって環境が変わる。そのため「Spot」が自分の位置や経路を把握して自動巡回することは困難であった。今回の実証実験では、標準の三次元レーザ測域センサーである「3D LiDAR」の利用と、「Spot」の背中に搭載した全天球撮影カメラで、自動巡回しながら工事進捗管理や資機材管理のための写真を取得できることが確認できたという。

例として、事務所ビルの建築工事などにおいて、前日に通ったルートに新しく間仕切り壁が設置され、ルートの片側半分が大幅に変更された状態となっても、Spotはエラーを起こすことなく、同じルートを移動することができたそうだ。
また、建物1階から工事中の建物をスロープや階段を利用し、指定された4階の確認フロアを自動巡回し戻ってくるような、日常運用を想定した実証実験にも成功している。


出典:竹中工務店

遠隔操作

「Spot」の背中には、全天球360度カメラ、光学30倍ズーム付きパンチルトカメラの他、「首振台座付きタブレット端末」「小型プロジェクター」「通話装置」と、これらをコントロールする「小型コンピューター」、「バッテリー」とともに遠隔通信を可能とするLTEモバイルルーターを搭載している。

これら全てを遠隔地のオペレータが、自身のPCや専用コントローラを操作することで、建設現場内を自由に移動させながら作業の確認をしたり、現地の作業員らとモニターやプロジェクターによって投影された資料や図面を共有しながら打合せをしたりすることができるという。

また、遠隔操作できる測量機を搭載することで、寸法や精度管理業務なども遠隔地から実施することが可能であることが確認されている。さらには、建設現場と現場事務所といった数百m程度離れた場所からのテストだけでなく、都心のオフィスから県をまたいだ地方の作業所にある「Spot」を操作し、現地を巡回したり、作業員とコミュニケーションを取ったりするテストも実施しており、通信遅延やデータ容量についても、日常使用には問題ないことが確認されているという。


出典:竹中工務店

今後、竹中工務店と竹中土木では、2024年に予定されている時間外労働の上限規制への対応策のひとつとして、この「Spot」の導入を進めるために、搭載機器を建設現場の担当者で簡単に扱えるようユニット化するとともに、利便性を向上させたオペレーションシステムの開発を目指すとしている。

また搭載ユニットについては他の移動ロボットへの応用を検討し、システムについては現在開発中である「建設ロボットプラットフォーム」との連携を進めていくとのことだ。

 


□株式会社竹中工務店
四足歩行ロボット「Spot」を用いた実証実験で建設現場での自動巡回と遠隔操作による業務支援機能を実現
リリース記事:https://www.takenaka.co.jp/news/2021/09/02/

→竹中技術研究所 研究トピックス「ロボティクス」
https://www.takenaka.co.jp/rd/robotics/