戸田建設株式会社が、トンネル工事における安全対策への取り組みに、VR(仮想現実)技術を活用した安全教育ツール「バーチャルNATM-TR」を開発した。同社では2019年3月に「バーチャルNATM」を開発しており、今回の「バーチャルNATM-TR」はその続編となる。

これらのシステムは3D仮想空間を体験できるVR技術を活用し、トンネル工事(NATM工法※)の自由に行動ができる3D空間内で、救護や避難訓練を受ける事ができるものとなっている。リアリティーのある体験のもと、救護・避難訓練をより効率的・効果的に実施するための教育ツールだ。

体験者は仮想現実の中で、災害発生時の救護手順や火災発生時の避難手順を学習できるとともに、トンネル坑内に設置されている各種安全設備の設置場所や関係法令を確認することができるという。

※NATM(ナトム)工法とは
主に山岳部におけるトンネル工法のひとつ。新オーストリアトンネル工法(New Austrian Tunneling Method)の頭文字からきている。


出典:戸田建設

続編「バーチャルNATM-TR」開発の背景

閉鎖空間となるトンネル工事では常に大型重機を使用している為、重機の接触災害や崩落災害などの重篤な災害に発展する危険性が高い環境にある。災害が発生した際には的確な救護活動が必要だ。また、坑内で火災が発生した場合、充満する煙が視界を遮るため、より冷静で迅速な対応が求められる。

「バーチャルNATM」概要

このシステムはVR技術を活用し、トンネル坑内で発生する災害発生時の一般的な行動手順を仮想体験の中で学習する安全教育用シナリオツールだ。

シナリオは3つあり、それぞれ「救護訓練」「避難訓練」の他、「坑内設備確認」となっており、これらでトンネル坑内の標準的な安全設備の設置場所や関係法令等を学習できる。

体験者はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着し、実際のトンネル現場にいるような臨場感でトンネル内を自由に歩き回る事が可能だ。その中で崩落災害発生時の救護手順や、坑内火災発生時の避難手順などを体験していく。


出典:戸田建設

特徴

1.トンネル内でのリアリティーのある疑似体験
建設工事の中でも特殊であるトンネル工事の避難・救護訓練は座学では理解が難しものとなっているが、3D仮想空間内でリアルな災害を疑似体験できるVRシステムは、訓練の質を向上させ、技術者やトンネル作業員、またトンネル工事関係者に対する緊急時の行動力向上に威力を発揮する。

2.疑似体験の共有で客観的指導も可能
体験者の見ている仮想空間の映像は、専用PCのモニターで常時同じ画面を共有しているため、第三者が災害発生時の行動を客観的な目線で教育・指導をすることができるツールになる。

近年では、トンネル工事における労働災害の撲滅を目指した各種最新安全設備等の開発が進められているが、災害が発生した際の迅速な対応も重要だ。救護や避難の手順を疑似体験することで、効率的・効果的な救護や避難訓練ができるツールのひとつとなるだろう。また、今後このシステムは社外に向けた販売も展開していく予定とのことだ。


戸田建設
VR技術を活用した安全教育ツールの続編を開発
https://www.toda.co.jp/news/2020/20201202_002858.html