国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)は、ブロードキャスト型の通信システムで、ドローンを遠隔から識別するという技術の評価試験に成功したと発表した。試験は「福島ロボットテストフィールド」にて行われ、水平到達距離300m以上で識別できることが確認されたという。

具体的には、Bluetooth5.0を用いたブロードキャスト型通信評価試験方法を適用し、試作送信機を搭載した高度約150mを飛行するドローンと、地上配置した試作評価受信機での通信成功率の確認試験を行い、水平距離300mで最大通信成功率95%の性能を確認した。これによりブロードキャスト型通信の有効性が実証できた形となる。


出典:NEDO

無人航空機の安心・安全な運行に寄与する技術

概要

現在NEDOでは、ドローンなど無人航空機の機体IDを遠隔から識別、また有人航空機との空域の共有に関する研究開発や運行管理システムの開発などを実施するプロジェクトを進めており、将来的には国際標準への提案を見据えドローン事業者が安心安全なドローン運航が行える社会を目指している。

ドローンの遠隔識別等の技術研究では、ドローンに送信機を取り付けて識別情報や位置情報を発信する通信システムや、有人航空機と無人航空機の空域共有を想定し、飛行情報共有システムの開発に取り組んでおり、こういった中で、今回のドローンの遠隔識別技術であるブロードキャスト型の通信評価試験に至っている。

実証試験概要

機体識別情報を遠隔通信する方法のひとつに、ブロードキャスト型通信方式がある。これはドローン等の機体に送信機を搭載し、地上の受信機に直接情報を送信するという技術で、情報を経由する基地局などを必要としないのが特長だ。

今回実施された通信評価試験では、このブロードキャスト型通信方式が適用されている、試験評価の項目は主に「送信機と評価受信機との水平方向の距離」「送信機の高度」「送信機の位置」の3項目で実施された。

1.送信機と評価受信機との水平方向の距離:300m、500m、700m
2.送信機の高度:50m、150m
3.送信機の位置:4方向(送信機が評価受信機の正面となる位置を0度とし90度ごと回転する。送信機と受信機が見通せる理想に近い状態での評価)
4.データ量:244bytes/回(識別情報、位置情報、時刻、認証情報等)
5.実施場所:送信機:滑走路、評価受信機:中央通路上、滑走路
6.発信頻度:1回/秒
7.電場状況:測定地点の周辺電波状況確認

通信評価試験のため試作した小型送信機をドローンに搭載。実際に高度約150mまで飛行させ、地上に配置した評価受信機との水平距離などの条件を変えながら受信状態の評価を実施。


出典:NEDO

今回の通信評価試験により、ブロードキャスト型の試作送信機を搭載した高度約150mを飛行するドローンと、地上に配置した試作評価受信機との水平距離が300m以上の条件で、識別情報や位置情報、Bluetooth5.0などで受信できることの確認とともに評価試験方法の確立を行うことができたという。


出典:NEDO

また、通信評価試験を通じ、「送信機と評価受信機との水平方向の距離」「送信機の高度」「送信機の位置」が通信成功率に影響することを確認し、送信機と受信機が見通せる理想に近い状態において、水平距離300mにて最大通信成功率95%の性能を確認できたという。

これら成果によって、将来Bluetooth5.0を搭載したスマートフォンなどでドローンを遠隔から識別できる可能性が明らかとなった。NEDOでは、今回の試験方法に基づきドローンを遠隔から識別するための送信データの精査、運用を見据えたセキュリティの実装を行い、安心安全なドローン運航のための研究を進めていくとのことだ。