こんにちは。以前にご紹介したことのある「清水建設」の「3眼カメラ配筋検査システム」が、国土交通省の発注工事(東北中央自動車道 東根川橋上部工工事)の配筋検査の手法として初めて採用されたそうです。

3眼のカメラシステムによる配筋検査

2020.04.02

この「3眼カメラ配筋検査システム」は、国土交通省の「PRISM※」を通じ、「シャープ株式会社」と共同開発したものとなっています。

※国交省のPRISM(プリズム)とは
「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」で、PRISMと呼ばれているのは内閣府の「官民研究開発投資拡大プログラム(略称がPRISM)」の資金を活用していることから前者もPRISMと呼ばれています。

3眼カメラとシステム制御により人手に頼る検査を効率化

これまで配筋検査と言えば、配筋に這わせた検尺ロッド(スケール)を写真撮影していくという、マンパワーに頼った手法が例外なく行われてきていました。これを解決すべく「清水建設」と「シャープ」により開発されたのが「3眼カメラ配筋検査システム」。

このシステムは、3眼カメラとシステム制御ソフトで構成されており、3つのカメラを用い異なる方向から同時撮影することで、三角測量の原理を応用し画像データの3次元情報を把握。

制御ソフト側では、撮影した画像から鉄筋を抽出したうえで、縦・横方向の鉄筋径や配筋の平均間隔、本数、重ね継手の長さ、コンクリートかぶり厚を計測し、検査帳票までを自動で作成できます。


出典:清水建設

その精度は工事管理基準内に収まる「鉄筋径で±1mm」「配筋の平均間隔で±5mm」となっており、二段配筋等の複雑な配筋にも対応可能とのこと。このシステムによって配筋検査に要する人員と時間がそれぞれ1/3以下になるそうです。

システムが導入される工事の概要

東根川橋上部工工事は橋長236m(3径間、最大支間長110m)の橋梁を建設するものとなっています。橋梁は10日程度のサイクルで施工が進むそうで配筋検査の機会が多いことから、同社では発注者の東北地方整備局へ3眼カメラ配筋検査システムの採用を提案し、システムの有用性が認められ採用に至ったそうです。

工事では3眼カメラ配筋検査システムが橋面躯体工の段階確認検査で所定の検査性能と省人化効果を発揮。引き続き東北地方整備局発注の「国道45号線新思惟大橋上部工工事」においての3眼カメラ配筋検査システムの採用が内定しているとのこと。


出典:清水建設

システム開発の背景

配筋検査はコンクリート構造物の品質保証をするうえで欠かせない、非常に重要な品質管理業務のひとつ。そのため検査帳票の作成や検査用具の準備、自主検査、発注者の立会い検査などに手間と時間を要し、検査と精度を維持しつつ効率化することが課題となっていたそうです。

システムの使用法

発注者あるいは施工者の品質管理者が指定した検査対象範囲を、単に撮影するだけの極めて単純な使用方法となっています。撮影後わずか7秒後に検査結果が自動的に画面表示されるので、管理者はストレスなく検査業務を継続可能。

一度の撮影の検査範囲は1m四方ということですが、複数の撮影結果を合成した広域の検査結果を取得することも可能。また配筋の妥当性が一目でわかるように検査結果とCIMの配筋図データとを色分けし重ね合わせることも可能とのこと。

システムのメリット


出典:清水建設

検査の精度を維持しつつ効率化が可能で、安全性も向上。これは、離れた場所からの配筋検査が可能であることから足場が不要になるため。

将来的にはこのシステムと遠隔臨場システムを組み合わせ、発注者の立会い検査を代替し、立会日時の調整、発注者の移動などの無駄を削減していくことを検討しているそうです。リモートや非接触な配筋検査は感染症対策としても有効です。

まとめ

従来の配筋検査では撮影者と計測者、そして黒板や検尺ロッドなどの配置が必要で、とくかく人工のかかる作業となっていましたが、このシステムを使うことで一人で作業を行うことが可能となります。しかもその作業も非常にスピーディーです。

このような配筋検査を効率化するシステムは、他のスーパーゼネコン等でも開発されており、鹿島建設のステレオカメラのシステムや、大成建設の「T-BIMR Inspection」、後はゼネコン20社が共同でAI配筋検査システムを開発していたりします。

ステレオカメラを活用した自動配筋検査システム

2018.03.01

ゼネコン20社による「AI配筋検査システム」の共同研究開発

2020.03.11

これだけ配筋検査のシステムに力を入れている企業が多いということは、やはりそれだけ通常の配筋検査というものは多くのコストが掛かっていることを物語っていますね。