こんにちは。昨今ではドローンを使った設備の点検作業例が増加してきています。特にこれまでロープ作業等での危険な点検をしていた高さのある設備に関してはその効果は顕著なものとなるので、今後は間違いなくドローンでの点検がスタンダードなものになるのは確かでしょう。

本日はそんな高さのある設備として代表的な風力発電設備の点検をドローンに置き換えた場合の有効性と、本点検へ向けた検討を進めるべく「KDDI株式会社」「電源開発株式会社(Jパワー)」の両社が実証を行ったというニュースリリースをご紹介。

ブレードに沿った自律飛行が可能なソフトを用い、点検の利便性を確保

両社は、風力発電機のブレードに沿ったドローンによる自動撮影を可能とするオートフライトソフト(ドローンベース社製)を搭載したドローンを用いた、風力発電機の自動点検の有効性を実証。

発電所は「Jパワー苫前ウィンビラ発電所」の他2ヵ所で、2020年9月1日から9月30日まで実施されています。実証の終了後も引き続き、実用化に向けた検討を進めていくとのこと。

ちなみにJパワー苫前ウィンビラ発電所は、Jパワーグループ初の商用風力発電設備で、2000年12月より運営されていますが、今年で20年。高経年化を踏まえた更新工事が順次行われています。


出典:KDDI

風力発電機の点検における課題とは

風力発電は、再生可能かつクリーン、純国産エネルギーでもあることから今後も導入が進んでいくことが期待されています。しかし、その一方で風力発電機のブレード点検は現状では人の手により実施されていますが、特殊高所作業となり、それを行える技能を有する人員が限られています。

一般的に風力発電機の点検は比較的風の吹かない夏期に集中して行われるため、作業員を確保するという部分に課題があったそうです。

両社では、このような現状の課題に対し、先端のテクノロジーを駆使した課題解決を進めるため、ドローンを使ったブレードの自動点検の有効性の実証を開始しました。

点検内容

1.概要

点検は、風力発電機をオートフライトソフトを搭載したドローンで撮影することによる、遠隔操作によるブレード点検を実施。オートフライト機能によって、停止させた風車のブレード3枚を1枚あたり4方向から、1回の飛行で撮影することができるとのこと。

撮影の終了後は撮影画像処理ソフトを使い、画像に撮影位置・高度情報を付与し、クライドサーバーにアップロード。クラウドサーバーにアップロードされた画像データを、画像解析ソフトを活用し損傷箇所を解析。損傷部識別の正確性などを確認する実証を実施。


出典:KDDI

2.オートフライトについて

ドローンがブレード中心位置から自律飛行し、停止中の風力発電機のブレード3枚をそれぞれ4方向から一度に撮影。現地の保守メンテナンス要員がオートフライト技術を利用することで、ドローンの高度な操作技術は不要となり、簡単な設定でブレードを点検可能とのこと。


出典:KDDI

また、自律飛行のため、落雷などの緊急時でも現地の作業員による迅速な点検が可能。

3.実証結果について

実証では、オートフライトソフト搭載のドローンを使用した、ブレード、タワーを含む風力発電機全体を漏れなく写真撮影することができたとのこと。

1基あたり約20分程度で撮影することができ、従来の点検手法よりも10分の1程度に時間を短縮できることが分かったそうです。また、撮影された写真は高精細で、高所作業により接写された写真と比べても遜色なく、また画像解析ソフトによる損傷箇所の解析もできたとのこと。

これらの実証結果を踏まえ、従来の高所作業による外観点検の代替性の検証ができたとされています。


出典:KDDI

まとめ

両社では引き続き、今回の点検から実用化に向けた検討を進めていくとのこと。今後はドローンやLPWA等を使ったDX(デジタルトランスフォーメーション)による保全業務の高度化を推進。ドローンや各種IoTセンサーの取得したデータを集積・分析・可視化するデータプラットフォームも構築していくそうです。

風力発電設備の点検は他社でも似たようなソリューションが多く出てきていますが、それだけ危険で日数もコストもかかる点検作業だというのが分かります。風力発電機の点検は、大体平均して1週間以上の作業を必要とすることが多いそうで過酷な労働環境と言えます。


出典:経済産業省(デロイトトーマツ報告書より)

風力発電設備は増加していきますが、人員は足りていないという状況に対応していくにはドローンでの調査ソリューションは必須。早期の実用化が待たれます。