こんにちは。現在、国内の社会インフラの橋梁、トンネル、道路付属物等の点検状況は、国交省の資料では平成30年の段階で全て実施状況は99%を超えており、点検自体の実施は概ね完了しています。

その点検で、構造物の機能に支障が生じている可能性があり、早急に措置を講ずべき状態となっているインフラは、橋梁で10%、トンネルで41%、道路付属物等で15%となっています。

これらが修繕に着手された割合としては、平成30年度末の時点で大体が約半分となっており、まだまだ早急な対応が求められているという状況です。また当然定期点検が必要で、その期間は5年に1度となっているので、毎年多くのインフラ点検が必要になりますが、昨今の人手不足問題からより効率的な点検方法が求められています。

本日は、社会インフラの中のトンネル点検向けに開発されたという「株式会社リコー」が開発した社会インフラ向け点検サービス「リコートンネルモニタリングサービス」をご紹介。

デジタルの力でインフラの維持・管理の効率化に貢献

同社は、一般車両搭載型のトンネル点検システムを用いた社会インフラ向けの点検サービス「リコートンネルモニタリングサービス」の提供を9月1日より開始したとのこと。

このシステムですが、被写界深度拡大カメラを搭載したリコー独自のラインセンサー型計測システムを搭載した一般車両で、交通規制を行わず、走行しながらトンネルを撮影することができるので、トンネル点検業務の精度向上と大幅効率化に貢献します。


出典:リコー

ちなみに「被写界深度拡大カメラ」とは、カメラのピントが合っているように見える被写体の距離の範囲のことで、その範囲を拡大できるカメラです。従来のカメラと比べても4〜5倍もの範囲を明瞭に撮影できるとのこと。

背景

国内には約1万本のトンネルがあり、老朽化に伴う安全管理が社会的課題となっています。2014年に国交省から道路トンネルの定期点検要領が出され、社会インフラのトンネルの維持管理に全国で定期点検が行われています。

しかし従来のトンネル点検方法は、道路の交通規制が必要となる他、特殊な高所作業車を使い近接目視にて確認を行う必要があるため、作業が危険である他、作業時間や人員も多く要しています。

トンネルモニタリングサービス概要

このシステムは、複数の被写界深度拡大カメラと照明で構成されており、40km/hの速度でのトンネル壁面の走行撮影を可能にし、また作成された展開画像から最小幅0.3mmのひび割れや漏水・チョーキングなどの変状やネジのゆるみを判別できます。

従来の人の手による作業では、現場で手書きした野鳥からの変状図・調書作成が必要でしたが、このサービスでは撮影結果から作成した高精度な展開画像を提供することで、変状図や調書の作成に活用可能。その為工数とともに誤記や漏れなどのヒューマンエラーを削減でき、トンネル維持管理の効率化に繋がります。

1.被写界深度拡大ラインセンサーカメラとライン照明での撮影

被写界深度拡大ラインセンサーカメラとライン照明を複数台用いた撮影システムで、トンネル内壁面を撮影。トンネル内を走行することで、走行車線側の撮影を行い、往復で走行することで全覆工面の撮影が可能。


出典:リコー

このラインセンサー型計測システムはコンパクトなシステム構成のため、一般車両にも搭載が可能です。さらに計測システムだけを取り外して輸送することも可能とのこと。


出典:リコー

2.展開画像の自動作成

撮影された画像は、トンネル覆工面の形状に応じた画像処理を行うことで、高精度な展開画像を自動で作成できます。ひび割れやねじのゆるみも確認でき、AIを用いたひび割れ自動抽出機能によりひび割れの抽出も可能です。


出典:リコー

3.結果の可視化

展開画像上に変状情報を登録し、変状展開図・写真台帳・トンネル点検結果総括表などの点検調書が所定のフォーマットで自動作成が可能です。過去の点検結果と比較することで、二回目以降の点検の工数が大幅に低減可能となります。


出典:リコー

ちなみにこのシステムは19年度に国交省のNETISにも登録され、国交省による実証実験では交通規制を行わずに40km/h程度で走行しながらトンネル計測を行い、ひび割れ・うき・剥離・鋼材腐食・漏水などの対象となる評価項目を100%判読できる精度評価をいただいたそうです。

まとめ

リコーでは他にも路面性状の点検を効率化できる「リコー路面モニタリングサービス」を19年8月から提供しており、今回のトンネルの点検サービスはインフラ対象の点検サービスとしては2例目となります。

建築構造物の方では、人の目を使わず高性能なカメラやまたそれを搭載したドローンやAIなどを活用し、点検を行う技術が多くなりましたが、トンネルの点検に関してはまだそこまで多く存在していなかったように思います。

やはり高精度なソリューションといえど機材を設置しての点検は交通規制が必要になるという部分がありましたが、車両に設置して走行しながら点検ができてしまうのは、トンネル点検の中でもかなり大きな変化となりそうです。