こんにちは。土木・建設業界でのAI活用と言えば、画像認識を活用したひび割れの解析技術や測量をはじめ、自動搬送を行うロボットや無人化施工システムまで、幅広く開発や実証が進んでいます。

本日ご紹介するのは、金属のサビを検知できるというAIで、主に排水機場の河川ポンプ内のサビをAIで検知できるというツールになります。これは業界初とのこと。

業界初の排水機場ポンプ内サビ検知AI

このAI技術は「クボタ機工株式会社」と、AIソリューションの「AMY(エイミー)」を開発・提供している「Automagi株式会社」の共同開発となり、排水機場の河川ポンプ内のサビ検知ツールとしては業界初となるとのこと。


出典:クボタ機工

開発の背景とその課題

河川ポンプとは、大型河川において降水量が増加した際に、本川から支川への逆流を防ぐためにある樋門(ひもん)が閉じれられた際に、行き場を失った支川の水流を本川へ汲み出すために排水機場に設置されている設備のことです。

同社では全国の河川ポンプを管理保全しているとのことで、各自治体や事業会社から要請を受けてから、1箇所に対し実地での撮影点検→判定→報告書作成までの流れを2,3人の点検員で1~2週間かけて実施していたとのこと。

点検方法としては、ファイバースコープ(内視鏡)カメラをポンプ内に入れ、その映像を点検員が目視で確認するというもので、内部の腐食・異常を発見するのに時間がかかることや、判定に一定の経験や技術の習得が必要となることが課題だったそうです。

ソリューションの概要

その課題を解決すべく開発されたツールでは、内視鏡カメラで撮影された動画データをクラウド環境上のAIに転送して解析することで、その動画においてヒビがある箇所に対し、劣化度ごとに色付けされたデータを確認できるとのこと。

この技術は、クボタ機工がこれまでに点検した動画データをもとにして教師データを作成。そしてAutomagi社の保有するサビ検知AIの技術を応用して共同開発されています。

Automagi社といえば、鉄塔や鉄橋などのサビを画像や動画から判定するAIソリューションを開発しており、過去にこのブログでも紹介しています。

AIで鉄塔や橋梁の錆を検知。領域特定も

2018.12.06

サビ検知AIは深層学習による画像映像解析を活用し、Automagi社の独自技術も併用。膨大なサビデータを学習させたモデルにより、画像や動画からサビを98%の精度で検知し腐食の進行度に応じた劣化レベルの表現を可能にしているとのこと。


出典:Automagi

これによって、通常の人による目視ではとりこぼしていた箇所まで網羅的に検知することが可能となり、補修の必要性を判断するサポートが受けられます。

また、動画のどの部分が特に劣化度が大きいかが可視化されるので、点検の効率化にも繋がること、AIが統一基準となり検知することで、人による判定のばらつきも無くすことができるそうです。

このツールの公開について

このAIツールですが、7月29(水)~31日(金)の間にインテックス大阪で実施される「メンテナンスレジリエンスOSAKA2020」にて、クボタ機工の出展ブースで公開されています。ご興味のある方は訪れてみてはいかがでしょうか?


出典:JMA

まとめ

今後、このツールを運用しデータを追加していくことで、より精度の高いエンジンの開発を継続していくとのこと。また、追加で目視判断していたサビ以外の劣化や異常に関しても並行して検知するモデルを構築しているとのことで、機能は順次実装されていくそうです。

多くの調査データは所謂データ資産でもあり、AIと合わせることで今回のような新たな調査ツールの開発に繋がります。過去の調査データ等の重要性は益々高まることでしょう。今後のためにも閲覧頻度の下がったデータに関してもしっかり保管・管理していくことが大事ですね。