こんにちは。昨今ではGPSよりも高精度なGNSSで現在位置情報の取得を行うソリューションが多く登場してきています。GNSSとは、米のGPS衛星を含む複数の衛星を併用して利用することで、効率的に高精度な測量を可能にする技術です。

準天頂衛星システムの「みちびき」という名前を聞いたことがある方も多いと思いますが、「みちびき」は日本のGNSSシステムで日本版GPSと呼ばれていたりもします。GPSの誤差が10m程度なのに対し、誤差1m以内の測位が可能な高精度な衛星システムです。

その「みちびき」を利用した「ソフトバンク株式会社」「ichimill(イチミル)」というサービスがあるのですが、この度、建設機械メーカーである「日立建機株式会社」のスマートフォンで施工現場の進捗管理ができる「Solution Linkage® Survey」のアドバンス版に、建機メーカーで初採用されたとのこと。

2周波測位で計測準備時間を大幅に短縮。ランニングコストを最大1/7に

測量などで使用する位置情報の確定には、準天頂衛星「みちびき」などのGNSSから複数の異なる信号を受信する必要がありますが、「ichimill」は一度に2周波の信号を受信できます。

その2つの信号の周波数の違いから遅延時間の差を読み取って補正するので、計測にかかる準備時間を短縮することが可能です。


出典:ソフトバンク

この「ichimill」の採用によって、土木施工現場で「Solution Linkage® Survey」のアドバンス版を利用しているユーザーは、従来の1周波対応のGNSSアンテナで最長十数分かかっていたという土量の計測準備時間を、僅か1分程度まで短縮できるとのこと。

「ichimill」はソフトバンクが全国3,300ヵ所以上に設置したという独自基準点を活用したRTK測位を行うため、全国のほとんどの現場で誤差数cmという高精度な測位を実現するそうです。


出典:ソフトバンク

さらに、従来のRTK測位に対応したサービスと比較し、ランニングコストを最大で1/7程度まで抑えることが可能とのこと。

「Solution Linkage® Survey」とは

スマホ専用のアプリで計測対象を動画撮影するだけで、土木工事作業で発生する土量や、土木施工現場の進捗状況を簡易に定量的に把握することが可能なサービス。

2020年の6月16日からスタンダード版・アドバンス版にラインアップを拡充。従来のものはGNSSからの信号を受信するGNSSアンテナに1周波対応のものを使用しており、受信した信号と補正情報の提供事業者からの補正情報を使って精密な測位を行っていたそうです。

1周波対応のGNSSアンテナは安価に入手できますが、GNSSから複数信号を受信して位置情報が安定するまでの時間が最長で十数分かかるのが課題になっていたとのこと。

「Solution Linkage® Survey」のアドバンス版

これまでの土木施工現場の測量では、エリアにより正確な位置情報を取得しにくいという課題がありますが、「ichimill」はソフトバンクの基地局の設置場所を活用し、全国3,300ヵ所以上に独自基準点を設けることで、独自基準点とユーザーが測定する位置までの距離が常に10km圏内になるようになっています。

これは、全国のほとんどの現場で高精度な測位を行うことが可能な設定です。



出典:日立建機

ランニングコストも低減

従来サービスでは、アンテナ受信機の購入費用や月額数万円程度の補正情報サービス料が発生するそうですが、アドバンス版ではスマホやGNSS受信機をはじめとする測位に必要なツールと「ichimill」を活用した測位サービスをパッケージ化しての月額制となるため、ランニングコストが最大1/7程度まで抑えられるそうです。

まとめ

やはり高精度な測位となるとGNSSの活用は外せません。昨今ではGNSSを利用したシステムが増加しており、中にはドローンに搭載されたGNSSセンサーのみで位置を割り出すことで、安価にレーザー測量を実現するシステムなどもあります。

全体的に見るとやはり土木の測量分野での活用が目立ちますが、自動車の自動走行システムや農業分野の農機の自動制御、そしてやはりドローンの高精度な自律飛行などへの活用が今後さらに広がってくるでしょう。

今回のこのシステムはスマートフォンで扱えるということが最大のメリットと言えそうです。ささっと短時間で手軽に撮影できるのは準備が必要なドローンでもできない部分ですね。