こんにちは。施工を進めていく上で重要な位置づけとなっているコンクリート構造物の配筋検査ですが、鉄筋の径を区別するためのマーキングや、鉄筋の間隔を示す標尺(スケールスタッフ)の設置等、その検査はアナログであり、事前準備に手間と時間がかかります。

作業がアナログであればある程、それを行う作業員の熟練度によって作業にかかる時間も品質も変わってきてしまいますので、この配筋検査部分に関しては大手ゼネコンをはじめとする各社で、省力化のためのソリューションの開発が活発な分野になっています。

ステレオカメラを活用した自動配筋検査システム

2018.03.01

ゼネコン20社による「AI配筋検査システム」の共同研究開発

2020.03.11

特に最近では、ゼネコン20社が共同でAIを活用した配筋検査システムの開発に取り組んでいるというニュースは記憶に新しいですね。そんな配筋検査システムですが、本日はまた新しい配筋検査システムがスーパーゼネコンの清水建設より登場してきたという話題。

3眼カメラ配筋検査システム、国交省のPRISMで検査性能を実証

この度、清水建設はシャープ株式会社と共同で、現場で行う鉄筋配筋検査の一層の信頼性向上と省力化を目的に、三角測量の原理を応用した「3眼カメラ配筋検査システム」を開発。

すでに国土交通省のPRISMを含む13現場に試験適用し、様々な現場環境のもとで有効性を検証済みとのこと。

PRISMとは
総合科学技術イノベーション官民投資拡大イニシアティブに基づき創設された「官民研究開発投資プログラム」の略で、建設現場の生産性を飛躍的に向上させるための革新的技術の導入・活躍に関するプロジェクト。

背景

配筋検査はコンクリート構造物の品質保証をするうえで欠かせない、非常に重要な品質管理業務のひとつ。このため、検査帳票の作成や検査用具の準備、自主検査、発注者の立会検査などに多くの手間と時間を要しています。

そのため、検査業務の精度を維持しつつ効率化することが課題になっていました。この度開発された「3眼カメラ配筋検査システム」は、こういった課題に対応するために開発されたものです。

システム概要

この3眼カメラシステムは、3眼カメラとシステム制御ソフトから構成されており、3つのカメラを用いて異なる方向から同時に撮影することにより、三角測量の原理を応用して画像データの3次元情報を把握します。


出典:清水建設

制御ソフトは画像から鉄筋を抽出したうえで、縦・横方向の鉄筋径や配筋の平均間隔、本数、重ね継手の長さ、かぶり(コンクリート厚)を計測し、検査帳票まで作成。

精度は鉄筋径の±1.0mm、配筋の平均間隔で±5mmと、工事管理基準内に収まっており、二段配筋等の複雑な配筋検査にも対応できるとのこと。

使用方法とメリット

使用方法は単純で、発注者あるいは施工者の品質管理者が指定した検査対象範囲を撮影するだけで、わずか7秒後に検査結果が自動的に画面に表示されるというもの。

このため、管理者はストレスなく検査業務を継続できます。一度の撮影で検査ができる範囲は1m四方とのことですが、複数の撮影結果を合成した広域の検査結果を取得することも可能。また、配筋の妥当性がひと目でわかるように検査結果とCIMの配筋図データとを色分けして重ね合わせることもできます。


出典:清水建設

主なメリットとしては、配筋検査を漏れなく実施できること、スケールや黒板等の検査用具の配備が不要になることから、検査人員、時間をそれぞれ1/3以下に削減できること。

また、離れた場所からの配筋検査が可能なので、足場が不要になり安全性も向上。将来的にこのシステムで発注者の立会い検査を代替えし、立会日時の調整、発注者の移動等のムダを削減する考えのようです。

共同開発にあたり、同社が配筋検査のニーズの整理、検査システムとCIMとの情報共有システムの開発、実証を担当。シャープが3眼カメラの鉄筋の抽出、鉄筋の輪郭、径の中心を認識できるアルゴリズムの開発を担当しています。

まとめ

同社では今後、3眼カメラ配筋検査システムを全国の土木現場に水平展開し、配筋検査業を効率化することで、現場の働き方改革に結びつけていくそうです。

スーパーゼネコン5社の中では、唯一まだ配筋検査ソリューションを発表していなかった同社ですが、今回の発表でスーパーゼネコン各社の配筋検査システムが出揃いました。

◆鹿島建設:「ステレオカメラを活用して配筋検査の大幅な省力化を実現!」

◆大成建設:「BIMデータを活用した現場での配筋検査システム」

◆竹中工務店:「鉄筋工事BIMソフト~RC一貫生産支援システム」

◆大林組:「鉄筋工事の全箇所・全数検査記録システム 配筋検査支援システム」

スーパーゼネコンは自製システム、中堅大手ゼネコンは共同開発という図式になっています。依然として競争が激しい分野ですが、この先落ち着いてくるのか更に激化していくのか?何にせよ配筋検査効率化は、大幅な生産性向上には必須であることがよく分かる状況であります。