こんにちは。屋外でのドローンを活用した建物点検での障害としては悪天候などの自然環境があげられます。悪天候では点検が難しくなる、または点検自体ができなくなりますが、その部分がクリアできていれば点検にあたり難しい部分というのは然程ない程に、昨今のドローン機体性能は上がっています。

しかし屋内、それも狭く入り組んだ地下空間での点検となると、今度はドローンへ電波が届くのかという問題が出てきます。そんな地下空間にある下水道を、球体型のドローンを使って点検を行ったという報道がありました。

竣工以来、立ち入り不可能な管路内を点検

その点検ですが、ブルーイノベーション株式会社と、株式会社エヌ・エス・シー・エンジニアリングが共同で、球体型ドローンの「ELIOS2(Flyability社製)」を使用し、東京都下水道局が管理する墨田区内の下水道の点検を実施したそうです。

ELIOS2といえば、このブログでも何度かご紹介したことがある球体状のガードを装備したドローン。

3Dモデリング出力も簡単な球体ドローン「ELIOS2」が発売。

2019.09.26

経済産業省が石油プラントのドローン実証検証実施

2020.01.27

点検実施箇所は、墨田区内の鉄道駅付近の入坑人孔と、車両の往来のある交差点の人孔の内部の2ヶ所。その場所は作業員が立ち入る術も、またその代替技術もないために、竣工以来一度も点検が出来ないという状況のまま、長年の課題となっている場所を含んでいたそうです。

点検概要

点検はパイロットが地上の安全な場所から操縦する方法で行われ、ELIOS2は施設の最深部まで飛行し、施設内のクラックの有無や配線の位置・形状などの鮮明な映像を取得できたとのこと。


出典:ブルーイノベーション

鉄道駅付近の入坑人孔では、地下約26mに埋設されている配管を、約30m奥まで飛行。飛行には電波を地下まで届けるために「RANGE EXTENDER」を使用し、電波の到達距離を検証できたそうです。

また交差点人孔では、下水が常時流れるために安定飛行の障害になる風が発生し、湿度も高く湯気も充満していることから、カメラの視界を遮る環境でした。しかし、ELIOS2の安定飛行性能や粉塵最適化ライトで、鮮明な映像の取得に成功。


出典:ブルーイノベーション

点検背景

大都市における幹線級の大規模下水道管路施設(特に合流管路)内には、枝線管渠の流入、流集系統の分水、放流施設等、複雑に配置された箇所となっているものがあります。

このような施設の多くは、下水道管路システムとして最重要と位置づけられ、定期的な点検、調査作業が欠かせない施設ですが、硫化水素が発生する危険が伴うので、作業員が入坑しての作業には困難がつきまといます。

そのような現状から、作業員が入坑せずに確実に点検できるシステムの開発・活用は喫緊の課題となっていました。


出典:ブルーイノベーション

この度の調査では、ELIOS2が通常の下水道管路への入口である人孔蓋孔(一般的にΦ60cm)から進入でき、管路施設内を飛行移動できるため、有力な手段になりうると考えられ実施。その実施の結果、ドローンの活用の有用性が確認されました。

まとめ

ドローンであれば作業員が入坑できない大規模な人孔内にも進入し調査が可能。特に今回使用されたELIOS2は狭小空間において実績のあるドローンで、壁への衝突による破損の心配もないことから最適です。

電波を拡張するRANGE EXTENDERを使うことで、深さ26m奥行き30mまでのドローン操作も実現しています。距離的にはこれで十分なのかどうかは施設の広さにより変わってくると思いますが、今回の実施で最低でもそこまでの範囲を調査できたという実績は大きな前進です。

電波部分の課題はまだまだ改善する余地はあると思いますし、ドローン自体のバッテリー駆動時間の問題や突然の下水流による管路内での風への対応など、他にも課題は色々とあると思いますが、それらを解決しつつ確立された調査技術として早急な対応が求められそうです。