こんにちは。総合建設会社(ゼネコン)の20社が、AIおよび画像解析を応用した「配筋検査システム」の共同研究開発契約を締結し、昨年2019年4月より約2年間にわたる研究開発を進めていることが発表されました。

工事監理の中でも配筋検査は検査項目の内容の選定など、管理者の豊富な知見に基づいて実施される事が多く、検査項目を整理し効率的な工事監理を行っていく必要があります。

人材不足、特に熟練工等が減少していく一方の業界では、これら習熟度に頼らない技術の開発は喫緊の課題と言えます。

配筋検査の効率化を目指すゼネコン20社の取組み

この「配筋検査システム」の研究では、ユーザーへ高品質な建物を提供するために施工管理者の習熟度によらない効率的かつ正確な配筋検査を可能とし、建設現場における適切な配筋施工の実施を支援するシステム開発を目指しているそうです。

この研究開発において、配筋施工支援を目的とするタブレット端末を用いた「配筋チェック機能」、及び検査の効率化改善を目的とする特殊カメラ等を用いた「配筋検査機能」の2つの機能を統合したものを目指しており、2020年度には、その「配筋チェック機能」の現場施行を開始する予定とのこと。


出典:戸田建設

1.開発背景

近年の建築土木工事の躯体作業において、熟練工の減少や品質管理の厳格化が顕著になってきています。

そうした社会背景に対する課題を共有しているゼネコン20社は、発展の著しいAIを配筋チェックと配筋検査に応用し、施工品質の向上と検査業務の効率化を目指して共同研究開発に取り組む運びとなっています。

2.システムの概要

「配筋チェック機能」及び「配筋検査機能」において必要となる設計データは、この研究開発で基本フォーマットの検討を行い、AIエンジンによりデータベース化します。

配筋チェック機能

配筋写真を撮影し、ディープラーニングと画像処理を用いて、撮影された配筋の径と本数、ピッチ等を算出。

配筋検査機能

配筋映像を撮影することで、三次元的に配筋形状を自動計測できます。そのデータを検査項目に合わせて変換・照合することで、配筋検査帳票への自動入力が可能となり、配筋検査の半自動化が実現。

3.今後の展開

今後もこのシステムの研究開発を進め、各社での現場試行と改良を繰り返すことで、システムの性能を向上させていく予定とのこと。

この共同研究の枠組みは、ゼネコン各社が共同で研究開発を推進することで、様々なアイデアが取り入れられ、短期間で高い成果に繋げることができます。

また、この研究開発により、ゼネコンが共通して抱える技術課題をAIで解決し、建設業全体の技術力を高度化する取り組みの一助になることが期待されます。

共同研究に参画するゼネコン20社

◆青木あすなろ建設 ◆淺沼組 ◆安藤・間 ◆奥村組 ◆北野建設 ◆熊谷組 ◆五洋建設 ◆佐藤工業 ◆大末建設 ◆髙松建設 ◆鉄建建設 ◆東急建設 ◆戸田建設 ◆飛島建設 ◆西松建設 ◆日本国土開発 ◆長谷工コーポレーション ◆ピーエス三菱 ◆松村組 ◆矢作建設

まとめ

当然上記ゼネコン20社以外でも、配筋検査に関しては手間と時間がかかることから、他ゼネコン各社でも効率化のためのシステム開発が進められています。

例えば大成建設のBIMを活用した「T-BIM® Inspection」や、以下の過去に紹介した鹿島建設のステレオカメラとタブレットを活用した検査システム等があります。

ステレオカメラを活用した自動配筋検査システム

2018.03.01

各社様々な取り組みで、何とか今のこの業界の現状を打破しようと邁進されています。それにしても突然の20社ものゼネコンが共同研究しているという発表に驚きました。

業界の状況が状況だけに、お互い事業の安定というところを重視した結果の「協争」というものですね。今後は配筋検査のみならず、他の部分に関してもこういった「協争」の動きが見れるかもしれません。