こんにちは。2020年の仕事初めから1週間が経とうとしています。今年はオリンピックも開催される年となり、約30兆円を超える経済効果が見込まれています。建設業界ではオリンピック特需で潤っている部分もあるかと思いますが、これが終わってからどうなっていくのかが心配されている声が上がっています。

ですが、2025年の大阪万博などの大型プロジェクトが多数控えているということもあり、懸念されているほど落ち込まないという意見も増えてきています。


出典:EXPO2025


出典:泉佐野市

万博で言えば、会場になる人工島周辺のインフラ整備でのプロジェクトや、関西国際空港のある泉佐野ではホテルやショッピングセンター、コンベンションホールなどを含んだ複合施設が今年の夏より着工される予定です。

後はリニア新幹線のプロジェクト。これは2027年開通予定の東京~名古屋間と、2045年開通予定の名古屋~大阪間の工事が控えており、工事の投資総額は東京~名古屋間で5.5兆円、名古屋~大阪間で3兆円という大規模なものとなっています。


出典:JR東海 リニア中央新幹線

その他にも18年のIR実施法案の成立による、全国3ヶ所でのIRリゾート建設(2025年頃)が予定されています。

このように既に決定している大型のプロジェクトが控えているという部分と、これまでも行われている老朽化の加速している社会インフラ資本の整備に関しては、今後も建設後50年を超える施設が増えていくことから、引き続きリニューアルの実施は続いていくことでしょう。

こうして見ると、確かにオリンピックだけではない多くの大型プロジェクトが続くことから、まだまだ日本には可能性はあると見ていいでしょう。

しかし問題なのはやはり人材不足

やはり問題なのは人材の面になります。先日、ヒューマンタッチ総研が国内の建設業の人材市場動向をまとめている2019年10月までの建設技術者の雇用動向データレポートをリリースされていましたが、そのレポートを少し見てみましょう。

建設技術者の有効求人倍率は全ての月で前年同月を上回っている

2019年1月~10月までの公共職業安定所(ハローワーク)における建設技術者の有効求人倍率の推移を前年と比較すると、直近10月は前年同月より0.53ポイント高い7.03倍となるなど、全ての月で前年同月を上回っており、建設技術者を採用することが前年以上に困難な状況となっている。(図表①)


出典:ヒューマンタッチ総研

有効求人数が増加するも有効求職者数は減少、人材需給ギャップの拡大に拍車がかかる

建設技術者の有効求人数と有効求職者数の対前年増減率の推移を見ると、直近の10月では有効求人数は1.9%増加しているものの、有効求職者数は5.6%減少するなど、全ての月で有効求人数は前年を上回り、有効求職者数は前年を下回っている。(図表②)


出典:ヒューマンタッチ総研

好調に推移する建設投資を背景に人材需要が増加するなか、建設技術者として働きたい求職者が減少することにより、人材の需給ギャップの拡大に拍車がかかっている状況であり、新規求職者の掘り起こしが大きな課題となりそうである。

その他にも細かい資料をご覧になりたい方はこちらを御覧ください。
「ヒューマンタッチ総研:建設業界人材動向レポート」

なぜ建設業界に若者が来ないのか?

というように、予想通りではありますが人材需要は増加しているものの、働きたいという求職者がいない、減少していっているといところが大きな課題になっています。なぜ建設業界には若者がこないのでしょうか?

背景には少子化もあると思いますがそれはどの業界でも同じこと。大学進学率が上がっているので、単純にそこからホワイトカラーを目指す若者が多いというのもあるかもしれません。

やはり全てではないですが俗に言う「3K」のイメージが抜けきっていないこともあるのかもしれません。建設業は技術を要する業務が多くありますが、それらの技術者(職人)の地位を上げていくことが必要でしょう。

国外を例に上げると、日本とよく似ていると言われるドイツでは、職人や技術者は「マイスター」という国家資格が取得でき、その地位は学士と同等扱いです。その業種数は約400種。選択肢も広いです。

そもそも教育システムが日本とは違っていて、10歳くらいの頃には大学に進むか、技術者として進むかの進路決定をするそうです。しかし大学進学を選んだからと言ってマイスターを目指せない訳ではありませんし、マイスターへの道を選択したからといって大学教育を受けられない訳ではありません。この辺りが日本とは違いキチンと仕組みが作られている点です。

日本では例えば中学を卒業して職人の道に入ると、違う道への潰しがきかないという面があります。勿論絶対にそうという訳ではありませんが。

このマイスター制度、日本では様々な大手企業等が取り入れており、建設業界では大手ゼネコンを中心に制度化しマイスターには賃金の上乗せという形で職人の囲い込みと地位向上に取り組まれています。

一般社団法人全国技能士会連合会でも平成15年から「全技連マイスター」という制度を取り入れています。ご興味のある方はこちらから→「全技連 匠の技ネット」

まとめ

このような物があるというのも業界の人は知っているかもしれませんが、一般的には周知できていないのではないでしょうか?しかし、仮に知ったとしても「取得するのが大変」「そこまで続けられる自信がない」など思われるのが関の山でしょうか。道の整っているドイツと比較するとどうしても後付け感は否めません。

ちなみにドイツでは専門で学び始めてから2~3年半でマイスターの前段階である「ゲゼレ」という国家資格のスペシャリストとして認められ、そこからさらに教育学や経営学を学びステップアップしたのが、マイスターという称号になります。マイスターは職人でもあり教育者でもあり経営者ということになりますね。これらの教育体制が整っているのがドイツの優れた点でしょう。

やはり今後は根本的な教育部分を変えていく必要がありそうなのと、建設業界を含め子どもの頃から具体的な仕事を見ることがない業界が多いような気がしますので、どういうやり甲斐のある仕事なのかという部分やその地位の向上、ドイツの事例ばかりになりますが、それがマイスターという社会的地位に繋がる部分が見えるような教育制度の構築が必要であると思います。

毎年、子どものなりたい職業ランキングが話題になりますが、結局の所は子どもが認知しているものが選ばれている結果になっています。ユーチューバーになりたいなんてとんでもない!なんて騒がれていましたが、それに限らずサッカー選手しかり野球選手しかり、子どもが身近に見ることができて夢が持てる、想像しやすいというのが結果になっているだけでしょう。

大手ゼネコンをはじめ現状を憂いている企業が、子どもにそういった事を体験してもらうような取り組みをされている企業も増えてきていますが、そういった見せることは非常に大事な取り組みだと思います。