こんにちは。従来の構造物の点検は基本的にアナログ。例えば橋梁のコンクリート面のひび割れ状況の確認であれば、近接目視点検でおこなったりしています。

昨今ではテクノロジーの発達で、そのようなアナログな点検方法も効率化されてきてはいますが、業界全体で見ると割合的にはまだまだアナログでの手法は多いのが現状です。

今回はそんなアナログ手法を効率化するNEXCO西日本イノベーションズが開発した、構造物の点検システム「AutoCIMA」をご紹介。このシステム自体は8年前の2011年に開発されており、15年から試験運用、19年より本格運用を開始するとのこと。

超高精細画像を用いたコンクリート構造物点検システム

この「AutoCIMA(Automatic Crack Inspection Management Assist System)」ですが、従来行われていたコンクリート橋梁などのひび割れ状況の目視点検を効率化するもの。


出典:NEXCO西日本イノベーションズ

電動雲台の付いているデジタルカメラをパソコンで自動操作することでコンクリート面を撮影。システムにて撮影画像を貼り合わせることにより、1枚の超高精細画像となり、その画像をもとにひび割れ箇所を自動的に検出できるようになっています。


出典:NEXCO西日本イノベーションズ

従来のコンクリートひび割れの近接目視点検の問題点

・調査対象が高所の場合、足場や点検車が必要。

・目視で行われる点検のために見落としの可能性があり。

・記録が手書きの場合、客観性がない。

・微細な作業のため、工数を要する。

・記録管理が煩雑になり易い。

AutoCIMAのメリット

1.地上作業により安全性確保

足場や点検車を利用すること無く、現地作業の効率化と点検員の安全性を優先した点検が可能。

2.自動撮影と貼り合わせ技術による効率化

対象範囲のコンクリート面を自動で撮影し、それぞれの画像を自動で貼り合わせることで、1枚の超高精細画像を作成。

3.画像処理による自動ひび割れ検出

超高精細画像を高度な情報処理技術で処理することで、高いひび割れ損傷再現率を有します。

4.画像データによる経年劣化の可視化

画像データの蓄積ができ、画像比較により「モニタリング技術」を効率的に用いて損傷の進行具合が容易に確認できます。


出典:NEXCO西日本イノベーションズ

画像の貼り合わせについて

自動撮影された画像は、撮影直後に2分程度の簡易貼り合わせによって撮影状態を確認できます。また、植物等の障害物の影響で自動撮影では対象物に焦点が合致していない箇所の画像のみを手動撮影で撮り直す事が可能。

簡易貼り合わせは、色ムラが存在し、貼り合わせの精度が低いため、撮影対象を1枚の画像として評価することはできません。(下画像)


出典:NEXCO西日本イノベーションズ

そこで画像処理技術によって高精度の張替えを行います。(下画像)この高精度の貼り合わせですが、144枚の画像で約15分程度を要します。


出典:NEXCO西日本イノベーションズ

その為、現地では作業は行わずに室内作業を実施する形です。高精度貼り合わせが完了した画像は、なんと3.4億画素の1枚の超高精細画像となります。

ひび割れの検出

その超高精度の貼り合わせ画像に対しひび割れの自動検出をすることで、ひび割れ認識が可能になっています。

・0.2mm幅以上のひび割れを自動検出可能。(0.5mm/画素精度の撮影において)
・ひび割れのみを検出するアルゴリズムの開発により、型枠線や気泡の非検出を実現。
・ひび割れ幅ごとに異なる色で表示可能。
・近接目視に比べて80%程度のひび割れ認識が可能。

まとめ

この「AutoCIMA」ですが開発後よりアップデートを重ねて検出率を80%にまで高めており、19年より同社が管理する橋梁など一部で本格活用がなされているとのこと。

ひび割れの検出には、特にAIなどのテクノロジーは使われていなさそうですが、独自のアルゴリズムにより80%以上という精度の高い検出を可能にしています。

従来のアナログ方法では工数もそうですが、見落としの可能性があることやデータの客観性がないというのが問題です。こういったシステムを使うことで、点検を自動化していくのは信頼性のあるアウトプットには必須と言えるでしょう。