こんにちは。梅雨明けから猛暑日が続きますが、今週1週間も引き続きの猛暑日。外で作業をされる方はくれぐれも無理をすることのないよう、また共に働く仲間の体調にも気を配りつつ進めていきましょう。ご安全に。

さて、本日はAIの画像解析技術を活用し、舗装道路のメンテナンス効率化を図れるという技術のご紹介。ニチレキ株式会社とNTT東日本、NTTコムウェアの3社による共同開発となります。

地方公共団体管理の舗装メンテナンスサイクル効率化を実現

この技術ですが、舗装道路の路面点検から診断、措置まで一貫して低コストで実現できるソリューションを提供するために、AIを活用した局部損傷(局部的な損傷の進行が早く緊急の措置が必要な箇所)を診断する技術となります。

3社は2019年度中のサービス提供を目指して開発中とのこと。それに先駆けて来月8月に行われるインフラメンテナンス国民会議「ちゅうごく」フォーラム主催の実証事業に参画し、このソリューションを活用するそうです。

開発の背景と課題

道路舗装が集中的に整備されたのが高度経済成長期。建築物もそうですが今後一斉に老朽化が進むことが懸念されており、維持修繕は喫緊の課題ですが、それに関わる予算は大幅に減少しています。

しかしながら地方公共団体管理の道路は路線数・路線延長ともに膨大で、損傷箇所全てをオーバーレイ等の舗装修繕工事で対応することが困難とのこと。ポットホールという舗装の表層が剥がれてできる穴が開いていたら補修するという事後対策に頼らざるを得ないのが実情のようです。

従来の道路舗装のひび割れ評価には「ひび割れ率」が用いられており、ひび割れ率は修繕工事区間の選定では有用な評価手段になるそうですが、緊急性を要する箇所の特定においては、信頼性の面では十分とは言えません。

スギマル
ひび割れ率の評価方法はかなりアナログで、人力による目視とスケッチが主な調査方法です。50cmマスで区画割りし、区画内にひび割れが1本なら6割、2本以上で10割と面積換算して路面に対する面積比を算出していきます。
スギヤマ
データ整理が容易ではあるが、路面のひび割れを線としてしか捉えてないのと深さは考慮されていない点、1区画内にひび割れが2本以上の場合でも極端な話、10本以上でも2本の場合と同じ評価となるなど課題点があるから十分な信頼性があるとは言えないだろうな。

 

開発されたソリューション

1.AIによる局部損傷の診断

局部損傷の評価作業は、人による解析ではあまりに煩雑で、AIの技術活用で初めて実用化が可能に。従来の道路診断AIでは、検出したひび割れの面積からひび割れ率を計算する技術だったそうです。


出典:NTTコムウェア

今回これを基に開発されるAIはNTTコムウェアの画像認識AI「Deeptector®」が利用されています。「Deeptector」は以前にこのブログでもドローンの画像解析AIとして何度かご紹介しました。

ドローン+AIで肉眼で見えない映像を可視化

2018.11.05

局部損傷評価に最適化されたAIであり、局部損傷と従来のひび割れ率を組み合わせることで、多角的な措置方法の選定が可能です。


出典:NTTコムウェア

2.診断結果に基づく措置

AIの診断結果に基づいて、ニチレキではこれまで培ってきた舗装メンテナンスの材料・工法ノウハウを活用し、予算に合わせた適切な措置についてコンサルテーションを実施。

従来のひび割れ率の診断結果に基づいた修繕工事に加えて、新たな局部損傷の診断結果に基づく局部損傷の予防保全を組み合わせ、現状の予算水準から剥離しない実現可能な舗装管理計画を立案。安心・安全な道路舗装計画を提供するとのこと。

局部損傷の補修はニチレキが開発を重ねてきた環境に優しい「常温表面処理工法」を活用。これは一般的な補修材料よりもコストパフォーマンスに優れているそうです。


出典:NTTコムウェア

各社の役割

1.ニチレキ

・点検、診断サービスの提供、維持修繕ノウハウの提供
・舗装材料の開発、材料・施工の提供
・舗装管理計画策定の提供

2.NTT東日本

・画像伝送用ネットワークサービス、セキュリティの提供
・画像蓄積、AI解析用データセンタ提供
・スマートイノベーションラボにおけるAI環境の提供
・AI画像解析サービスの販売取次

3.NTTコムウェア

・Deeptectorを利用したAI画像解析ソフトウェアの開発
・AI画像解析サービスの提供

まとめ

従来のひび割れ率を調査する手法はかなりアナログなやり方で、どうしても事後対策に頼ってしまうという状況。信頼性の面でも不安な部分があったようですが、このソリューションで早急な対応を必要としている損傷箇所の検出・補修が可能になります。

近い将来、後数年もすれば自動車も自動運転が主流になってくることは間違いないでしょう。舗装に穴や凹みなどがあると影響が出るでしょうし、次世代技術へのスムーズな移行の為にも迅速にメンテナンス対応をしていく必要があるので、このようなソリューションは大変有用ですね。