スギマル
こんにちは。ようやく梅雨に入ったと思えば先週末から各地で大雨となっております。この雨はしばらく続きそうなので、十分に警戒していきましょう。そして本日から7月1日。毎年この日は「国民安全の日」となっています。
スギヤマ
これは昭和35年5月の閣議で制定された。一人ひとりが生活のあらゆる面での行動の安全について考え、反省し安全確保に留意し習慣化することで、災害発生防止をはかることが目的だ。
スギマル
「安全は忘れた頃に去っていく」とあるゼネコンさんで聞いた言葉ですが、まさにそれですね。意識しなくなるのが一番怖いことで、安全を常日頃から意識するということは大事なことですね。

作業の効率化と環境改善を実現。建設技能者不足の解消を目指すロボット技術

さて本日は大林組の開発した、鉄骨の耐火被膜処理をロボットで大幅に効率化するという技術をご紹介。著しく技能者が不足している耐火被膜工事において、被膜の吹付け作業を自動化と省人化を実現。


出典:大林組

作業効率の他、作業環境も改善できるという「耐火被膜吹付けロボット」を開発されています。

背景

鉄骨造の建築物は、火災による鉄骨への損傷を防止するために、鉄骨の表面にロックウォールなどで耐火被膜処理を施します。

その作業で主に採用されている半乾式吹付けロックウォール工法の問題点が、吹付けたロックウォールが大量に飛散するため、夏場でも防護服を着用する必要があり、作業者に大きな負担を強いることが挙げられます。

それが建設技能者不足の主な要因にもなっており、建設技能者が確保できない場合、後続する仕上げ工事の遅延にもつながりかねないことから、建設技能者不足の解消が喫緊の課題となっています。

耐火被膜処理における建設技能者解消のために

そこで同社では、その問題の解消を目指し作業を自動化するロボットを開発。開発した耐火被膜吹付けロボットは、走行装置、昇降装置、横行装置、産業用ロボットアームで構成されています。

あらかじめ登録した作業データに従って現場内を走行し、半日もしくは1日単位の吹付け作業を自動化することで、現場の省人化を実現します。

また、横行装置により移動せずに吹き付けられる最大幅が、建設技能者と比較して約2倍となり、作業効率が3割程度向上。さらに専用の粉じん飛散防止ノズルも開発したことで、ロックウォールの飛散量を約7割も低減することから、ロボットと協働する建設技能者の作業環境も改善されます。

耐火被膜吹き付けロボットの特長

1.耐火被膜を自動で吹付けることで省人化を実現

従来では吹き付け・コテ押さえ・材料投入を担当する建設技能者3人を1班とし作業を行いますが、吹き付けロボットを適用した場合、吹き付けを担当する建設技能者を1人削減することが可能。

吹き付け作業の指示はBIMモデルを利用し、専用シミュレータ上で作成した吹き付け作業ファイルと、平面図上の座標を基に作成した走行ルートを組み合わせた作業データを登録するのみ。半日もしくは1日単位の長時間作業でも作業指示に従って移動と吹き付けを繰り返し実行可能。


出典:大林組

ロボットは階高5m、梁せい1.5mまでの梁部材の吹き付けに対応可能。対象がH形の鉄骨梁でも下フランジ・ウェブ・上フランジのすべての部位に自動で吹き付けます。

また、吹き付け対象部材が柱の場合、床面から1.5m以上の領域であれば吹付けが可能。走行装置は自動運転以外にリモコンでの遠隔操作も可能となっており、2.5t以上の工事用エレベーターに積載し移動することもできます。

2.最大吹付け幅の拡幅により作業効率が向上

従来の梁の吹付けは技能者が高所作業車に乗り吹付け作業を行いますが、1ヵ所の最大吹付け幅は技能者が手を伸ばせる2m程度の範囲に限られています。

次の吹付け場所に移動する際も、安全上の理由から一旦作業台を最下部まで下げて移動した後、再度上昇させつ必要があるため時間がかかり作業効率が低下します。


出典:大林組

ロボットは横行装置で梁の材軸方向にロボットアームをスライドさせることで、1ヵ所の最大吹付け幅が建設技能者の約2倍の3.8mとしています。

鉄骨造建物で一般的な柱の間隔が7.2m程度の場合、梁の表側と裏側を吹き付けると従来工法6~8回の移動が必要となっていた所が、4回の移動で吹き付けが完了でき作業効率が大幅に向上するそうです。

実験の結果

技能者では1日あたりの吹き付け面積が150㎡程度だったのに対し、吹付けロボットでは200㎡程度の吹付けが可能で、作業効率が約3割向上することが確認されています。


出典:大林組

3.協働する建設技能者は快適・安全に作業可能

従来作業では、吐出したロックウォール材料が作業区画内に大量に飛散・浮遊するため、技能者は通気性の悪い防護服を着用することが必須。そのため特に夏場の作業では負担が大きい作業となります。

ロボットにとっても浮遊する微細ロックウォールは、装置ジョイントや精密部品などに侵入し故障の原因となります。


出典:大林組

今回開発された専用の飛散防止ノズルでは、吐出したロックウォールをミスト状の水で包むことで、飛散量が約7割削減。技能者の作業環境を改善する他、ロボットの安定的稼働に寄与します。

また、安全対策としては、ロボットの作業中や走行中に近傍に侵入した技能者や障害物を、複数のセンサーで認識し自動的に減速、停止する機能も備えているそうです。

まとめ

このロボットですが、実際に大阪府内の現場で実証実験をおこない、結果大梁2本、小梁2本を建設技能者と同等の品質で施工できることが確認されています。本格的な適用は2020年度になるそうです。

建設現場でも色々なロボットが出てきましたね。これまで清水建設の梁の自動溶接ロボットや、下地材の組み立て、天井ボードの取り付けを自動化するロボット、資材の搬送用のロボットなどご紹介してきました。

今後も現場にはどんどんロボットが入ってくるでしょうね。今は作業ごとに特化したロボットが多いですが、以前ご紹介した「重労働をこなす人型ロボット」のように、色々な作業をこなす汎用性の高いロボットも近い将来に出てきそうです。

重労働をこなす人型ロボットが登場

2018.09.28

ロボットとの協働することが当たり前の世界は近そうです。